02-09
2013
アニメ再発掘 第2話「灰羽連盟」
大量の過去作品の中に埋もれてしまった傑作・秀作・良作アニメをもう一度掘り起し、再評価しようとする自己満足企画!
今回は灰羽連盟を見ていきます
思い入れの強い作品なので、今回はボリューム多めです
前半部分はネタバレなしで作品を紹介し、後半部分では稚拙ながら作品について考察していきます。

放送時期:2002年
ジャンル:ファンタジー/不思議な世界観と雰囲気/文学的・哲学的/罪と救い
・プロローグ
定規でまっすぐ線を引くみたいに
私は空に落ちていく
ただ灰色の世界へ
古びた廃屋の一つその繭の中から、少女は夢から目覚める
そこは、背中に小さな羽根の生えた天使のような人間、「灰羽」の住む館だった
少女は灰羽達の助力を得て、灰羽としての新しい生活をはじめる
・作品概要
ネタバレなしで、しかも文章で表現しようとするととても難しいですが、
普遍的でありながら、とらえどころのない人の暗い内面を、灰羽達に置き換えて描いている作品
⇒色々な意味で、自分たちの経験そのものの暗喩となっている作品
⇒救済・意義・目的・愛情・喪失・信頼といった時代を超えたテーマを巧みに描く、精神的で感情に訴える作品
といったところでしょうか?
プロットは、自由連想で思いつくままに自由に書き連ねたものなので、
何かこう、ふわふわとした印象がありますね
そこがまた良いんですがw
灰羽の良さは何といっても作品全体の雰囲気
心地よい緩やかな空気と、もやもやした不気味さが絶妙なバランスで同居しています
セピア調の穏やかな世界観・透明感あふれる音楽・シブリアニメに似た美観
そして、ゆったりと流れる時間の中、幸せに過ごす灰羽達
しかし一方で、灰羽に課された制約や、高い壁など不穏な空気を醸し出す
序盤では、視聴者に、癒しや安心感と共に、漫然とした不安を抱かせながら進んでいきます
中盤以降、もやもやとしていた不気味なものが、より鮮明になっていき、冒頭で紹介したような哲学的・精神的なものとなっていきます
ところで、灰羽の世界設定は、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」そっくりです
「人々は高い壁に囲まれた町に住み、絶対に町から外に出られない」
「鳥だけが壁を越え外の世界に行くことが出来る」
といった設定はそのまんまです
ここで既視感を覚える人が多いかもしれませんね
設定は似ていますがストーリーは別物!
是非一度見てみて欲しい作品です
アニメーションでもこういう小難しいテーマを扱ってもいいよね!
・作品考察
細かいところでは解釈が分かれる
明示されていない、想像するしかない部分が多い
そんな作品なのですが
自由連想で思いつくままに書き連ねたものが元になってるんで、仕方ないですねw
そんな作品に、数学のような明確な答えを求めちゃいかんです
罪憑きとは何か?
原作者の安倍吉俊氏は灰羽連盟についてこう述べています
10代の終わりから数年間の間に、僕が立ち会う事になった、いくつかの死や、それに近しい出来事、
そしてそれに付随する感情が、この物語の土台になっている
いくつかの理不尽の死に対して、ずっと意味や救いを探していたし
そのことが灰羽を生み出す一つの要因になったのだとはいえるのかもしれない
つまり、人の死、それによって生まれる負の感情が、この作品の根底にあると推察できます
罪憑き=自殺した人
とするのがネット上での通説になっていると思いますが、
決して自殺した人だけが罪憑きになるわけではないのではないでしょうか?
ラッカもレキも自殺したことを仄めかすような描写がありますが
それだけで罪憑きになる、と結論付けるのは性急すぎると思います
死んだ者、あるいは残された者の「負の感情」が強い場合、
つまり、事故死した人や、自分や世界を否定してしたまま死んでしまった人達も
「罪憑き」になるのではないではないかと、僕は思います
ラッカもレキも、漠然とした罪の意識を抱き、自己を卑下し殻に閉じこもっていましたが
他者に諭され、自らの居場所を見出すことで、罪から解放されています
灰羽達は何らかの理由で、現実世界から消滅し、グリの町に生を受けた存在であると思います
じゃあ町の住民は何者なんだ!って話になりますが、僕にもよく分かりません!
灰羽たちの夢
では、罪憑きの灰羽はどんな罪を持っているのか?
レキやラッカの場合、それは現世で自殺したことによるものと、夢を思い出す場面から推測できます
レキは列車に轢かれ、ラッカは飛び降りたのでしょう
そして、そこから考えられるのは、灰羽達の夢とは死ぬ直前の出来事であるということ
クウはどこか高いところから落ちたのでしょうか?
ネムは長い間昏睡状態にあったのでしょうか?
カナは川で溺れたのでしょうか?
ヒカリは光の中にいる夢なのですが、これはなんなんだろう?
ただ、年少組の子供たちの場合、それは将来の夢や身近な欲求になぞらえて名づけられているようです
大工になりたいダイ
花屋になりたいハナ
ショートケーキを食べたい翔太
彼らは罪憑きではないので、
若くして亡くなった魂が、何らかの理由で「大地でも海でもない場所にぽっかりと浮かんでいるグリの町」に、灰羽として生を受けたのでしょう
それは残された人たちの想いでそうなったのか、彼らに死を受け入れるための猶予期間を与えるためなのか
カラスとは
グリの町では、カラスとは壁を越えられる唯一の存在であり、思い出を運ぶと考えられています
ラッカの出来事も勘案すると、カラスとはつまり、現実世界の人の想いか何か、ではないでしょうか?
ラッカが井戸の底ので見つけたカラスの躯は、ラッカに伝えることのできなかった「想い」ではないでしょうか?
カラスと友達になることを望んでいたクウは、壁を越えます
カナはカラスを嫌っており、人の想いに対して意固地を張っているように見えます
カナの旅立ちの日は、まだ遠そうです
夢を思い出し、赦しを得る
夢を思い出す。それは、自分の罪を思い出し、赦しを請うこと
「誰にも必要とされていない」と思い込んでいたラッカが
自分を救おうとしてくれたカラス(=現世での大切な誰か。親のような存在と推測されます)を思い出し、
話師に赦しを求めています
つまり、「ここから消えたい」という思いが、「ここにいたい」という思いに変わったことで罪が赦され
罪憑きから解放されたのでしょう
その証拠に、ラッカはグリの町で自分の居場所を見い出せず悩んでいたが、
夢を思い出した直後、ベッドでレキに「ここにいていいよね?」とすがっています
放送から10年以上経っていますが、2010年にBlu-ray Boxが期間限定生産されるなど、未だに根強い人気があります
不思議な世界観や雰囲気に浸ってみたい方、象徴的で難解な作品が好きな方、どこか悲しくも重たい作品が好きな方にはおススメです
是非一度見てみてはいかがでしょう?
今回は灰羽連盟を見ていきます
思い入れの強い作品なので、今回はボリューム多めです
前半部分はネタバレなしで作品を紹介し、後半部分では稚拙ながら作品について考察していきます。

放送時期:2002年
ジャンル:ファンタジー/不思議な世界観と雰囲気/文学的・哲学的/罪と救い
・プロローグ
定規でまっすぐ線を引くみたいに
私は空に落ちていく
ただ灰色の世界へ
古びた廃屋の一つその繭の中から、少女は夢から目覚める
そこは、背中に小さな羽根の生えた天使のような人間、「灰羽」の住む館だった
少女は灰羽達の助力を得て、灰羽としての新しい生活をはじめる
・作品概要
ネタバレなしで、しかも文章で表現しようとするととても難しいですが、
普遍的でありながら、とらえどころのない人の暗い内面を、灰羽達に置き換えて描いている作品
⇒色々な意味で、自分たちの経験そのものの暗喩となっている作品
⇒救済・意義・目的・愛情・喪失・信頼といった時代を超えたテーマを巧みに描く、精神的で感情に訴える作品
といったところでしょうか?
プロットは、自由連想で思いつくままに自由に書き連ねたものなので、
何かこう、ふわふわとした印象がありますね
そこがまた良いんですがw
灰羽の良さは何といっても作品全体の雰囲気
心地よい緩やかな空気と、もやもやした不気味さが絶妙なバランスで同居しています
セピア調の穏やかな世界観・透明感あふれる音楽・シブリアニメに似た美観
そして、ゆったりと流れる時間の中、幸せに過ごす灰羽達
しかし一方で、灰羽に課された制約や、高い壁など不穏な空気を醸し出す
序盤では、視聴者に、癒しや安心感と共に、漫然とした不安を抱かせながら進んでいきます
中盤以降、もやもやとしていた不気味なものが、より鮮明になっていき、冒頭で紹介したような哲学的・精神的なものとなっていきます
ところで、灰羽の世界設定は、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」そっくりです
「人々は高い壁に囲まれた町に住み、絶対に町から外に出られない」
「鳥だけが壁を越え外の世界に行くことが出来る」
といった設定はそのまんまです
ここで既視感を覚える人が多いかもしれませんね
設定は似ていますがストーリーは別物!
是非一度見てみて欲しい作品です
アニメーションでもこういう小難しいテーマを扱ってもいいよね!
・作品考察
細かいところでは解釈が分かれる
明示されていない、想像するしかない部分が多い
そんな作品なのですが
自由連想で思いつくままに書き連ねたものが元になってるんで、仕方ないですねw
そんな作品に、数学のような明確な答えを求めちゃいかんです
罪憑きとは何か?
原作者の安倍吉俊氏は灰羽連盟についてこう述べています
10代の終わりから数年間の間に、僕が立ち会う事になった、いくつかの死や、それに近しい出来事、
そしてそれに付随する感情が、この物語の土台になっている
いくつかの理不尽の死に対して、ずっと意味や救いを探していたし
そのことが灰羽を生み出す一つの要因になったのだとはいえるのかもしれない
つまり、人の死、それによって生まれる負の感情が、この作品の根底にあると推察できます
罪憑き=自殺した人
とするのがネット上での通説になっていると思いますが、
決して自殺した人だけが罪憑きになるわけではないのではないでしょうか?
ラッカもレキも自殺したことを仄めかすような描写がありますが
それだけで罪憑きになる、と結論付けるのは性急すぎると思います
死んだ者、あるいは残された者の「負の感情」が強い場合、
つまり、事故死した人や、自分や世界を否定してしたまま死んでしまった人達も
「罪憑き」になるのではないではないかと、僕は思います
ラッカもレキも、漠然とした罪の意識を抱き、自己を卑下し殻に閉じこもっていましたが
他者に諭され、自らの居場所を見出すことで、罪から解放されています
灰羽達は何らかの理由で、現実世界から消滅し、グリの町に生を受けた存在であると思います
じゃあ町の住民は何者なんだ!って話になりますが、僕にもよく分かりません!
灰羽たちの夢
では、罪憑きの灰羽はどんな罪を持っているのか?
レキやラッカの場合、それは現世で自殺したことによるものと、夢を思い出す場面から推測できます
レキは列車に轢かれ、ラッカは飛び降りたのでしょう
そして、そこから考えられるのは、灰羽達の夢とは死ぬ直前の出来事であるということ
クウはどこか高いところから落ちたのでしょうか?
ネムは長い間昏睡状態にあったのでしょうか?
カナは川で溺れたのでしょうか?
ヒカリは光の中にいる夢なのですが、これはなんなんだろう?
ただ、年少組の子供たちの場合、それは将来の夢や身近な欲求になぞらえて名づけられているようです
大工になりたいダイ
花屋になりたいハナ
ショートケーキを食べたい翔太
彼らは罪憑きではないので、
若くして亡くなった魂が、何らかの理由で「大地でも海でもない場所にぽっかりと浮かんでいるグリの町」に、灰羽として生を受けたのでしょう
それは残された人たちの想いでそうなったのか、彼らに死を受け入れるための猶予期間を与えるためなのか
カラスとは
グリの町では、カラスとは壁を越えられる唯一の存在であり、思い出を運ぶと考えられています
ラッカの出来事も勘案すると、カラスとはつまり、現実世界の人の想いか何か、ではないでしょうか?
ラッカが井戸の底ので見つけたカラスの躯は、ラッカに伝えることのできなかった「想い」ではないでしょうか?
カラスと友達になることを望んでいたクウは、壁を越えます
カナはカラスを嫌っており、人の想いに対して意固地を張っているように見えます
カナの旅立ちの日は、まだ遠そうです
夢を思い出し、赦しを得る
夢を思い出す。それは、自分の罪を思い出し、赦しを請うこと
「誰にも必要とされていない」と思い込んでいたラッカが
自分を救おうとしてくれたカラス(=現世での大切な誰か。親のような存在と推測されます)を思い出し、
話師に赦しを求めています
つまり、「ここから消えたい」という思いが、「ここにいたい」という思いに変わったことで罪が赦され
罪憑きから解放されたのでしょう
その証拠に、ラッカはグリの町で自分の居場所を見い出せず悩んでいたが、
夢を思い出した直後、ベッドでレキに「ここにいていいよね?」とすがっています
放送から10年以上経っていますが、2010年にBlu-ray Boxが期間限定生産されるなど、未だに根強い人気があります
不思議な世界観や雰囲気に浸ってみたい方、象徴的で難解な作品が好きな方、どこか悲しくも重たい作品が好きな方にはおススメです
是非一度見てみてはいかがでしょう?
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COMMENT
激泣きしたよ(´・ェ・`)ノ
ラストの話師のセリフ
「人々の礎になる踏み台の石、石くれの礫となるだろう」
ってところでぶわってなりました(´・ェ・`)ノ
「人々の礎になる踏み台の石、石くれの礫となるだろう」
ってところでぶわってなりました(´・ェ・`)ノ