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ほねっこアニメ部屋

俺たちは腐っているんじゃない、発酵しているんだ

11-23

2016

ここが凄い!この世界の片隅に

この世界の片隅にが公開されて2週間
各方面で絶賛の嵐、劇場も連日満員と大好評なのですが、
この映画、アニメだとか映画だとかのジャンルの枠を超えて、
人生最高の作品です!ナンバーワンです!断言できます!

作品自体の素晴らしさは無論、とにかく色々と凄いんです
批評は少なめに、その凄さの一部を斜めの視点も交えつつ列挙していきたいと思います
(若干のネタバレありです。ご注意ください。)

作品の出来が凄い!
冗談抜きに、観終わったあとあまりの衝撃と感動で足は震え涙はボロボロ。抜け殻の様になってました。
本当にすごい経験でした。こんなの初めてだよぅ・・・

別に派手さもカッコ良さもないんです。
主人公のすずさんの視点で、当時の日常生活が淡々と丁寧に綴られているだけなんです。
ごく普通の人たちのお話だから、今の自分に重ねることができる。
だからこそ、それが失われる恐ろしさと悲しさ、それでも生きていこうとする健気さと切なさが雪崩のように押し寄せてきて、涙ボロボロ

慎ましいながらも楽しい日常に、戦争が徐々に入り込んでゆき、戦争が日常になっていく・・・・
それでも、すずさんもその周りの人たちは、これまで通り生きていく。
ただ、生きている。生活している。それだけなのにとても愛おしくて切なくて・・・
その強さに涙が止まらないし、救われもします。。

何を語ろうとも言葉足らずになってしまう・・・
とにかく、観てください。観ればその凄さが分かります。

徹底的な取材が凄い!
作品世界にぐいぐい引き込まれてしまう要因の一つが、徹底的な取材!
その徹底ぶりに監督の並々ならぬ執念を感じます・・・!
そのほんの一部を紹介しましょう。

・中島本町を再現!
今は平和記念公園となっている区画は、原爆投下前は中島本町と呼ばれる繁華街でした。
資料を漁るだけでは飽き足らず、当時そこに住んでいた人にも取材して、どういう人がどういうお店で暮らしていたのかも徹底的に調べます。

床屋さん。実在しました。建物のつくりも本物そのもの。しかも床屋夫婦も実在します。
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映画「この世界の片隅に」 こめられた思い

大津屋商店さん。実在しました。建物のつくりも本物そのもの。しかも店主夫婦も実在します。

中島本町の様子を、そこにいた人までも再現してます!
わずか数分のシーンなのに、画面の隅々まで見逃すことができません。。

海苔干しを再現!
Fuyuno_Kioku.jpg
広島市江波地区。戦前は海苔の養殖が盛んでした。
この海苔の干し方、最初は原作通り6段で書いていたそうですが、当時を知るおばあちゃん(おじいちゃんだったかな?)に指摘されて7段に修正したそうです。映画では7段になっています。

空襲警報が鳴った日時を再現!
何月何日何時ごろに空襲警報が鳴って、どういう被害があったのか、を調べ尽くしています!
作中では夜中だったり早朝だったり、いろんな時間に空襲警報が鳴っていますが、
当時の呉では本当にこの時間に空襲警報が鳴っています

当時の天気まで再現!
当時の気象情報の資料を探り当て、それを作品に反映させています。
作中ではある日は晴れていて、ある日は雨が降っていたりしていますが、
当時の呉は本当にこの天気だったんです。

艦船の入港時期まで再現!
当時の海軍の資料を探し出し、いつどんな艦船が呉に入港していたのか調べています。
作中では、大和・武蔵・青葉・利根といった艦船が出てきますが、
当時の呉では本当にこの日にこれらの艦船が入港していました

インディーズ魂が凄い!
片渕監督自身が「この漫画の映画を作りたい!」という思いから制作がスタート
→なかなか協力者・出資者が現れず、監督自ら身銭を切りながら細々と制作を続ける
→ついに行き詰まりそうになり、クラウドファンディングを呼びかける
→3,374名から39,121,920円集める(国内映画の過去最高額)
→この反響を受けて出資企業が現れ、製作委員会が組織される
→製作委員会にはお馴染みの大手企業なし(大手広告代理店・テレビ局・映画最王手・大手出版社など)
→主演にはテレビ業界から干されている「のん」をあえて起用
→規模の小ささや「のん」を起用したことで、テレビでは全く露出せず
→十分な製作費・配給体制は敷けず、独立系の劇場を中心に63館のみの公開(メジャータイトルは300館を超える)
→公開するやいなや、素人から玄人まで手放しで大絶賛
→ツイッター等のSNSの口コミで評判が広まる
→見に来る客層が広がり、全国各地の劇場で連日満員
製作・監督・主演・公開規模など、あらゆる逆境を草の根運動で跳ね返して大ヒット

興行収入が凄い!
映画ランキング : 2016年11月21日発表(毎週火曜更新)
のん主演、片渕須直監督『この世界の片隅に』が動員数10万人・興行収入1億6,000万円を突破 全国での上映がさらに拡大へ

わずか60館強の公開にも関わらず、公開第1週・第2週ともに週末興行収入ランキング10位にランクイン
他の作品が軒並み200~300館であったり、第1週だけのランクインだったりしているなかで、この健闘は本当に凄い
テアトル新宿では過去10年の動員数の新記録を達成したそうです

普通の映画は公開第1週をピークに動員数も公開館数もだんだん減っていくものなのですが、
「この世界の片隅に」第2週の動員・公開館・興行収入ともに伸びています。
このまま行くと第3週の数字も伸びそうな勢いです!

マーケットにまで波及して凄い!
teatoru.jpg
製作・配給を担い、自社の劇場で興行もしている東京テアトルの株が「この世界の片隅に」の大ヒットで爆上げ
市場のハゲタカどもにもブームが波及したようです

職場で思わず勧めちゃうくらい凄い!
普段職場ではアニメの話とか絶対にしないんですけど、職場の親しい人に「この世界の片隅にってアニメなんですけどめちゃくちゃ面白いんですよ!」って勧めちゃうくらい凄い。その甲斐あって、一人見に行かせて号泣させました。

「この世界の片隅に」を絶賛するツイートしかできなくなるくらい凄い!
ここ1ヶ月くらい、ツイッターで「この世界の片隅に凄い」しか言ってないので、そろそろウザがられてるかもしれないけど、やめられないくらい凄いです。本当にいろんな人に見てもらいたいんじゃ。

放置していたブログを更新しちゃうくらい凄い!
このまま更新しないままなんだろうなー!とか思ってましたけど、
「この感動を何かで残さなきゃ!そうだ!ブログだ!」と思わせるくらい凄い!
「前前前世~♪」も「君に生きるのを手伝って欲しい!」も素晴らしかったけど、そういう気持ちにはならなかったよ・・・

自分のために作られたような作品で凄い!
これは個人的なことなのですが、この作品って本当に自分のために作られたんじゃないの?って思っちゃうくらいの作品で、非常に強い思い入れがあります。

まず、自分は日常描写を丹念に描いてドラマを紡いでいくタイプのアニメが大好きだ、ということ。
例えば、「母をたずねて三千里」なんか大好き!

次に、自分がクラウドファンディングで出資した作品であること。
自己顕示欲と承認欲求が強い人なので、わずか1万円ではあったけど、微力ながらこの作品に携われたことがとても誇らしく感じるのです。
皆さん!エンドロールで「ほねつこ」を探してください!左端にいます!

最後に、広島も呉も自分にとって特別な街であること。
自分の両親は二人とも呉出身で、先祖はずっとあのあたりの人。
幼いころから呉にも広島にも頻繁に行っていたし、
祖父・祖母は呉空襲を体験しているし、親戚には直接被爆した人もいるし、入市被爆した人もいるし、亡くなった人もいます。
祖父は、呉の海軍工廠に勤めていましたが、体が弱くて徴兵は後回し。終戦直前に徴兵されたけれども、戦地に赴くことなくそのまま終戦。まるで北條円太郎と北條周作を足して二で割ったような人なんですよねぇ。
そんな人たちから戦争の話を聞いたりしているので、「この世界の片隅に」のキャラクターが近しい人のように思えてなりません。

個人的には8月6日の呉の様子がとても印象に残っています。
というのも、自分の祖父・祖母はすずさんと同じ時代に生まれ、戦争中に呉に住んでいました。
子供の頃に聞いた、「原爆が落ちた日は、山の向こうがピカッと光り、広島から色んなものが飛んできた」という話が心に残っていて、「広島の回覧板が落ちていた」「庭木にボロボロになった引き戸が引っかかっていた」といったシーンに
心を鷲掴みにされてしまいました。。




これだけの作品を世に送り出してくれた監督スタッフ他全ての人、ありがとうございました!
これから一生心に残り続ける映画になるでしょう。本当に素晴らしい体験でした。。
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